「これ今日中でお願い!」──そんな突然の依頼、あなたのチームでもありませんか?依頼する側に悪気はなくても、受ける側には大きなストレスです。特に女性リーダーは、頼まれると断りにくい傾向があります。結果として、チームの石(Rocks)やスコアカード達成に影響する場合もあります。
こうした“無意識の依頼”は、部署間の連携不足や役割の不明確さから生まれます。そこで本記事では、EOS(起業家型組織運営システム)のアカウンタビリティチャートを活用し、部署間のコミュニケーション改善方法を解説します。
なぜ“無意識の依頼”がチームを疲弊させるのか
突然のタスクがもたらす混乱
週のToDoがすでに決まっている状態で、突然別部署から期限付きタスクが追加される──これはまさにスコープクリープの社内版です。計画外のタスクは優先順位の入れ替えを迫ります。そのため残業が増え、チーム全体の士気を下げます。
スコープクリープ(Scope Creep)とは
プロジェクトや業務の進行中に、当初の作業範囲を超えて要件や作業が増える現象です。小さな追加でも積み重なれば納期やコスト、品質に悪影響を与えます。女性リーダーは配慮から依頼を受け入れやすく、気づかぬうちに招くことがあります。
あるある例:
・チーム会議で決まった施策の一部を事前相談なしで他部署に丸投げ
・「イベント準備を手伝って」と突然の依頼、しかも締切は2日後
・相手のスケジュールを知らずに期限を設定
女性リーダー特有の配慮と落とし穴
女性リーダーは関係性を大事にするあまり、「No」と言いづらい場面があります。結果として、チームに無理な負担をかけてしまうこともあります。また依頼する側になったときも、往々にして相手の負荷を確認せずに依頼してしまう場合があります。
アカウンタビリティチャートで役割と責任を明確にする
序列ではなく役割で動く文化
アカウンタビリティチャートは組織の役割と結果責任を明確にするEOSツールです。つまり序列や部署の上下関係ではなく、「誰が責任者か」で判断します。これにより、決定権や相談先が明確になります。
部署を超えたオープンなコミュニケーション
『TRACTION』でも「伝達事項は序列や部署に関係なく自由に伝える」文化が推奨されています。加えてこの考え方は現場の連携をスムーズにします。活用すれば、縄張り意識や分断を防ぎ、役割や現状を踏まえた依頼が可能になります。
課題 | 従来の動き | EOS導入後の動き |
---|---|---|
突然のタスク追加 | 事前共有なしで依頼 | 役割責任者と優先順位を確認 |
部署間の壁 | 自部署優先で判断 | アカウンタビリティチャートで全体最適化 |
無意識の依頼を減らす3つの実践

1. 依頼前に優先順位と期限を確認する
依頼前に、相手の現行ToDoやRocksを確認します。例えば「今週のタスク状況はどう?」と聞くだけで、無理な依頼を防げます。
2. IDSで事前に議論する
急ぎの案件でも、L10ミーティングや臨時のIDSで事前に議論します。期限や工数、影響範囲を洗い出し、双方納得の上で進めましょう。
3. 「足すなら減らす」ルールを適用する
新しいタスクを追加する場合は、既存の何を外すかを決めます。このようにルールを徹底すれば、石(Rocks)やスコアカード達成への集中を守れます。
まとめ|役割の明確化がチームを守る
無意識の依頼は、知らぬ間にチームを疲弊させます。女性リーダーこそ、相手の状況を確認し、役割と責任を意識した依頼を心がけるべきです。したがってEOSのアカウンタビリティチャートは、そのための有効なツールです。役割の明確化とオープンな連携で、部署間の信頼と成果を高めましょう。
参考書籍『TRACTION』の活用ポイント
本記事で紹介したアカウンタビリティチャートは、EOS(起業家型組織運営システム)の公式ガイドブック『TRACTION』で詳しく解説されています。著者ジーノ・ウィックマンは、部署間の壁をなくし、役割と責任を明確にすることが組織成長の鍵だと説いています。
特に本書では、「伝達事項は序列や部署に関係なく自由に伝える」文化の重要性を強調しています。このようにアカウンタビリティチャートは組織の壁を低くします。導入すれば縄張り意識や分断が減り、“無意識の依頼による負担”も防げます。
部署間連携や役割の明確化に悩む女性リーダーにとって、『TRACTION』は実践的な解決策を学べる一冊です。
▶ 『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著