「夜遅くまで頑張れば成果が出る」「自分が直接チェックしないと不安」「誰よりも先に行動して見本を見せる」――こんな“頑張り屋マイルール”を持つ女性リーダーは少なくありません。
一見すると立派に見えます。しかし、こうしたルールは再現性がありません。そのため他の人では成果が出せず、結果として「リーダーにしかできない」仕事が増えます。つまり、チームの成長を止めてしまうのです。
本記事では「マイルールは社外で!」をテーマに、成果を出す女性リーダーがどうやって仕組みに素直に従う姿勢を持つかを解説します。鍵となるのは、アメリカの中小企業で広く浸透している経営メソッドEOS(Entrepreneurial Operating System®)です。
属人的なやり方では成果が続きません。一方で、誰でも再現できる仕組みを取り入れると、チーム全体の成果を引き上げられるようになります。
マイルールが招く落とし穴
女性リーダーに多いのが「私のやり方が一番成果を出せる」という思い込みです。たしかに正しく見えるかもしれません。しかし、次のようなリスクをはらんでいます。
マイルールの例 | チームへの悪影響 |
---|---|
夜遅くまで頑張れば成果が出る | 残業が常態化する 効率的な働き方が進まない 疲弊して生産性が低下する |
自分が直接チェックしないと不安 | 確認がリーダーに集中する チームの判断力が育たない 業務が滞る |
誰よりも先に行動して見本を見せる | メンバーが依存する 主体性が弱まる 「リーダーがやるから」と責任が分散する |
教えるより自分でやった方が早い | メンバーの成長機会が失われる リーダーしかできない属人化が進む |
私のやり方が一番成果を出せる | 本人が不在だと仕事が進まない 成果が一時的で継続しない 組織がリーダー以上に成長できない |
どれほど優秀なリーダーでも、マイルールに頼る限りチームは本人以上に成長できません。だからこそ、成果を継続するには「誰でも実践できる仕組み」が欠かせないのです。
マイルールは社外で!仕組みに委ねるリーダーシップ

リーダーが本当に発揮すべき力は「自分のやり方を押し通すこと」ではありません。むしろ「誰でも成果を出せる仕組みに委ねること」です。マイルールは社外での自己研鑽に留め、社内では共通ルールを徹底する姿勢が求められます。
EOSが示す“共通言語”の重要性
アメリカの中小企業で広がるEOS(Entrepreneurial Operating System®)では、会議の進め方や目標の立て方、課題解決の手順まで、誰でも同じ手順で実践できる「共通言語」を提供しています。そのため、リーダーが変わっても成果の出し方が変わらず、仕組み化が実現するのです。
「私流」を捨てる勇気が成果を生む
マイルールを手放すことは、リーダーとしてのアイデンティティを揺さぶるように感じるかもしれません。しかし、勇気を持って仕組みに従うと成果が安定します。さらに、リーダー自身も戦略的な仕事に時間を使えるようになります。結果として、チームもリーダーも一段上のステージへ進めるのです。
社外でこそ発揮される「マイルール」
もちろん「私流」を完全に否定する必要はありません。たとえば学びの場や社外ネットワーク、趣味や副業の場などで培ったマイルールは、自己成長のエンジンになります。大切なのは、それを組織に無理やり持ち込まないことです。仕組みで動かす社内文化と切り分けて考えることが求められます。
この切り分けこそが、成果を継続させる女性リーダーに共通する習慣なのです。
仕組みで回す|マイルールより“再現性”
なぜ仕組みが必要なのか
リーダーが自分流で成果を出すのは一時的には可能です。しかし、そのやり方は他の人に真似できません。その結果、リーダーがいなくなると成果も途絶えてしまいます。
一方で、仕組みは誰でも実践でき、属人性に頼らない再現性を生み出します。つまり、人が変わっても成果が続くのです。なぜならルールやプロセスが共通言語として浸透しているからです。
組織に必要なのは「優秀な一人のやり方」ではありません。むしろ「誰でも同じ成果を出せる仕組み」です。その代表例がEOS(Entrepreneurial Operating System®)なのです。
比較:マイルール vs 仕組み(EOS)
マイルール | 仕組み(EOS) |
---|---|
リーダー個人の経験や直感に依存 | 誰でも使える共通のツールに基づく |
再現性がなく、成果が一時的 | 再現性が高く、人が変わっても継続する |
リーダー不在で停滞 | 仕組みが回るので組織は動き続ける |
「なぜうまくいったか」が言語化されない | 会議の進め方や数値管理など明文化されている |
属人化が進み、成長が頭打ち | 仕組みにより全員が成長し、成果が拡大する |
女性リーダーが実践すべき3つのポイント
- 仕組みに素直に従う:EOSの会議フォーマットやスコアカードを「まずはそのまま」使いましょう。そうすることで全員が同じ基準で動けます。
- 任せて仕組みに乗せる:マイルールを押し付けず、アカウンタビリティチャートやプロセスを活用します。誰もが同じ流れで成果を出せるようにしましょう。
- 再現性を意識して振り返る:成果が出たときは「なぜ成功したのか」を言語化します。仕組みに落とし込むことで成功パターンを蓄積できます。
この3つを実践すれば、女性リーダーは属人的なやり方を超えられます。そして、仕組みを通じて成果を再現できるチームをつくれるのです。
まとめ|自己流よりも、実績ある仕組みに素直になる
女性リーダーが成果を継続して出すためには、「自己流にならない」姿勢が欠かせません。マイルールは一見かっこよく見えます。しかし、再現性がなくチームの成長を止めてしまいます。
だからこそ、実績のある経営メソッドやツールを素直に活用することが重要です。たとえばEOS(Entrepreneurial Operating System®)は、世界中で成果を出してきました。このように仕組みを取り入れると、リーダー不在でも成果が継続する「再現性のある組織」が実現します。
自己流を手放し、仕組みに従う勇気を持ちましょう。それこそが、チームを伸ばしリーダー自身も次のステージへ進むための鍵なのです。
書籍紹介|『TRACTION』
『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System®)の公式ガイドブックです。会議の進め方「L10ミーティング」や、四半期ごとの重点目標「石(Rocks)」、成果を数値で追う「スコアカード」など、リーダーがチームを仕組みで動かすためのツールが体系的にまとめられています。
本書を読むことで、女性リーダーが陥りがちな「完璧主義」を手放し、着実に前進する「前進主義」へとシフトできます。自己流に頼らず、仕組みを武器にして成果を出したいリーダーに最適な一冊です。
▶ 『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著