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任せる覚悟と任せる勇気|EOSで学ぶ権限委譲の力

白いスーツに赤いインナーを着た女性リーダーが、オフィスで笑顔を見せている。背景には記事タイトル「任せる覚悟と任せる勇気|EOSで学ぶ権限委譲の力」が表示されている。 EOSツール実践ガイド

「自分でやった方が早いから」――そう思って、つい全部を抱え込んでしまう。
「教える時間がない」「任せても結局手直しが必要になる」。
そんな経験はありませんか?

気づけば、細かいことに固執して視野が狭まっている。
チーム全体を見る余裕がなくなってしまう。
真面目で責任感の強い女性リーダーほど、この“あるある”に悩みがちです。

でも、視野を広げて「任せる覚悟と勇気」を持つことで、自分の成長も、チームの成長も加速していきます。
そして、その一歩を後押ししてくれるのがEOS(Entrepreneurial Operating System)です。

EOSとは?

EOS(イーオーエス:Entrepreneurial Operating System)は、アメリカを中心に世界中の中小企業が導入している経営システムです。
複雑になりがちな組織運営をシンプルに整理します。
「ビジョン・人・データ・課題・プロセス・トラクション」という6つの要素を整えることで、チームを確実に機能させます。

  • ✅ 明確な方向性を示し、チームを同じゴールに向かわせる
  • ✅ 優先順位をはっきりさせ、抱え込みを防ぐ
  • ✅ 仕組みで支え、一人で頑張らなくても成果を出せる

EOSを体系化した書籍『TRACTION』は、世界で100万部以上読まれているベストセラーです。
女性リーダーにとっても、「自分らしく成果を出すリーダー像」を描くための強力な支えになります。
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なぜ女性リーダーは固執しやすいのか

責任感の強さが裏目に出る

女性リーダーの多くは、真面目で責任感が強い。
だからこそ「最後まで自分でやり切らなければ」と思い込みがちです。
一見すると美徳に見えます。ですが、実際には抱え込みすぎて視野を狭める原因になります。

EOSの考え方では、リーダーはすべてを背負うのではありません。
チームを“機能させる”ことに責任を持つ存在です。
責任感を「任せる力」に変えることが求められます。

「自分でやった方が早い」の罠

忙しい現場では「自分でやった方が早い」と考えてしまうことがあります。
短期的には効率的に見えます。ですが、リーダーは目先の業務だけでなく、中長期のチームの成長や組織の方向性を考える存在です。

EOSのツールを使えば、役割を明確にし(アカウンタビリティチャート)、人が役割にフィットしているかを見極め(GWC、「誰に任せるか」を仕組みで判断できます。
「早さ」ではなく「育つこと」を優先する視点が、固執から抜け出す第一歩です。

視野が狭まることで失うもの

リーダーが細部に固執すると「今この瞬間」に意識が集中します。
その結果、チーム全体を長期的にどう成長させるかという視点を見失いがちです。

  • メンバーに経験を積ませる機会を奪ってしまう
  • チームがリーダー依存になり、自走できなくなる
  • 本来リーダーが考えるべき中長期の課題に手が回らない

視野が狭まることは、本人の成長を妨げるだけではありません。
チームの未来そのものを小さくしてしまうリスクがあります。
だからこそ、リーダーには「任せる覚悟と勇気」を持ち、全体像を見渡す時間を確保することが必要です。

EOSでは、ビジョントラクションシート(V/TO)を活用します。
組織の未来像と具体的な行動計画を常に可視化できるからです。
こうした仕組みを持つことで、細かいことにとらわれず、リーダー本来の役割=未来を描き、チームを導くことに集中できます。

視野を広げるカギは「権限委譲」

白いスーツに赤いインナーを着た女性リーダーが、部下と向き合い笑顔で会話している。権限委譲によってチームの信頼関係を築く場面。

固執を手放すために必要なのは、「任せる覚悟」と「任せる勇気」です。
とはいえ、覚悟や勇気だけでは現場は変わりません。
そこで必要になるのが、具体的な行動としての「権限委譲」です。

リーダーが権限を手渡すことで、メンバーは経験を積みます。
その過程で自走する力を身につけるのです。
リーダー自身も、細部に固執するのではなく、チーム全体と未来を見渡す時間を確保できます。

EOSの考え方では、リーダーは「すべてを自分でやる人」ではありません。
チームを機能させる仕組みを整える人です。
そのために役立つのが、LMA(Lead, Manage, hold Accountable)という実践原則です。

単に任せるのではありません。
導き(Lead)、管理し(Manage)、責任を果たさせる(Accountable)。
この流れによって、権限委譲はチームの力に変わります。
リーダーは「細部に固執」から解放され、チーム全体を俯瞰する時間と余裕を持てるようになります。

「固執」と「権限委譲」の違いを整理する

固執したとき権限委譲したとき
責任感が強く「自分でやらなければ」と抱え込む責任は「成果に導くこと」と捉え直し、任せやすくなる
「自分でやった方が早い」と考えがち短期効率よりもチームの成長を優先できる
細部にとらわれ、中長期の視点を見失うV/TOで未来を描き、全体を見渡せる
結果、チームがリーダー依存になりやすいメンバーが自走し、リーダーは未来志向の役割に集中できる
固執と権限委譲の違いを対比した整理表

こうして比較すると、固執はリーダーとチーム双方の成長を妨げます。
一方で、権限委譲は未来志向のリーダーシップを可能にします。
EOSの仕組みを取り入れれば、リーダーが抱え込む状態から抜け出し、チームを「自走する組織」へと導けます。

まとめ|任せる覚悟と勇気がリーダーを成長させる

女性リーダーが固執する背景には、責任感の強さや「自分でやった方が早い」という考え方があります。
しかし、そのままではリーダー自身の成長も、チームの成長も停滞してしまいます。

必要なのは「任せる覚悟」と「任せる勇気」です。
権限委譲でメンバーに経験を与えれば、チームは自走力を育みます。
リーダー自身も中長期の未来を見渡す役割に集中できます。

EOS(Entrepreneurial Operating System)は、この変化を後押しする仕組みを持っています。
LMAV/TOを使えば、リーダーが一人で抱え込まずに、チーム全体を成長に導く道筋が明確になります。

固執から抜け出し、任せるリーダーシップへ。
それは勇気のいる一歩です。ですが、その先にはあなた自身の成長と、チームの飛躍的な進化が待っています。

書籍紹介|『TRACTION』で学ぶ実践的なEOS

『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。
本書では、リーダーが抱え込みから抜け出し、チームを機能させるために役立つ具体的なツールが紹介されています。

  • L10ミーティング(10点満点ミーティング):課題を引き出し、解決に導くための定例会議
  • 石(Rocks):四半期ごとの最重要目標を明確化し、優先順位を守る仕組み
  • スコアカード:数字でチームの進捗を把握し、迷わず判断できる基盤

女性リーダーが陥りやすい「完璧主義」を手放し、「前進主義」へ切り替えるための実践的なヒントが詰まっています。
仕組みを武器にして成果を出したい方にとって、最適な一冊です。

『TRACTION』 ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
著者:ジーノ・ウィックマン

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