「もっと早く決めていれば…」「チャンスを逃したかもしれない」——。
多くの女性リーダーが抱える悩みのひとつが、“決断する”ことへの不安や迷いです。チームの気持ちを尊重したい。間違えたくない。そんな思いから、判断が遅れてしまうことはありませんか?
しかし実は、「決めないこと」こそが、最大のリスクになる場合があるのです。
なぜ「決めないこと」が組織にとって致命的なのか?
EOS(Entrepreneurial Operating System)の創始者であるジーノ・ウィックマンは、著書『TRACTION』の中でこう述べています。
“A wrong decision is often better than no decision at all.”—『TRACTION』より
つまり、「間違った決断」よりも「何も決めないこと」のほうが企業にとって致命的だというのです。
実際、決断が遅れることで、組織には次のような悪影響が及びます。
決断できないリーダーの影響 | チームにもたらす弊害 |
---|---|
判断が曖昧 | 部下が動きづらくなる |
行動が遅れる | 機会損失やリスク増加 |
責任の所在が不明 | 信頼・心理的安全性の低下 |
優先順位が見えない | チームが疲弊・混乱する |
図:決断できないことがチームに与える影響
ここで重要なのは、「すぐに正解を出す」ことではなく、「今できる最善の判断をする」ことです。
迷って動けない自分から卒業するには、構造とフレームが必要。それこそが、EOSが女性リーダーに提供する本質的な価値です。
決断力は“鍛えられる”|EOSが示すリーダー育成の鍵
意思決定の重要性は、成功哲学の古典として知られるナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』でも語られています。
「成功者は、決断が速く、変えることが少ない」—『思考は現実化する』より
迷い続けることが評価される時代ではありません。スピード感ある決断が、組織やキャリアの未来を動かすのです。
とはいえ、誰もが最初から決断上手なわけではありません。EOSでは「決断力は“構造”で育てられる」と考えます。
迷わない判断を支える3つのEOSツール
ツール名 | 概要 | 決断への貢献 |
---|---|---|
ビジョン・トラクションシート | ビジョン・トラクションの整理 | 判断軸が明確になる |
IDS | 課題の特定・議論・解決 | 感情ではなく本質で判断 |
スコアカード | 重要数値の見える化 | 客観的に優先順位がつく |
図:迷いを減らすEOSツールの役割
このように、“迷い”の根本には「判断材料が曖昧」「軸がない」問題が潜んでいることが多いのです。
EOSのツールを使えば、自分らしさを活かしたまま、的確に決められるリーダーへと成長できます。
今日から実践できる“迷わない私”のつくり方

「決断力」は、限られた人だけの資質ではありません。日々の思考習慣と実践によって、誰でも鍛えることができます。
判断軸を持つ|ビジョントラクションシートとコアバリューで“ぶれない自分”に
EOSのビジョントラクションシートでは、会社の目的・価値観・戦略を明文化します。自分の所属する組織が「何を大切にしているのか」が明確であれば、判断の精度は上がります。
また、コアバリュー(価値観)を判断基準にすることで、「何を選ぶべきか」ではなく「どれが自分たちらしいか」という視点で決断できるようになります。
迷ったときの問い|「これは誰が決めるべきか?」
判断に迷ったときは、「これは自分が決めるべきか?」と一度立ち止まってみてください。
EOSでは『Who Not How』の考え方を重視します。「どうやるか?」よりも「誰がやるべきか?」という視点です。決断を任せることで、責任と行動が生まれます。
すべてを自分で抱え込むのではなく、「決めるべき人に任せる力」も、リーダーの大切な能力です。
決める→動く→ふり返る|意思決定のPDCAを回す
リーダーとして完璧な判断を求めすぎると、いつまでも決められなくなります。だからこそ、「決めて、動いて、ふり返る」というPDCAの循環を意識することが大切です。
たとえ最初の判断が完璧でなくても、実行し、検証し、次に活かせば成長につながります。EOSではこのような実践的な姿勢を大切にしています。
大事なのは、「次にもっと良くする力」を持っているという自己信頼です。
まとめ:決断力は、チームと未来を動かす力になる
決断とは、たった一人で孤独に行うものではありません。リーダーが決めることで、チームが動き出す。その力こそが、組織に変化と前進をもたらします。
決断が“信頼”と“スピード”を生み出す
決める人がいることで、チームは安心して動けます。「この方向でいいんだ」と共有された判断軸は、迷いを減らし、組織全体にスピードをもたらします。
たとえ結果が思い通りでなくても、「決めてくれた」ことに対する信頼は残ります。むしろ、決めないことの方が、信頼と行動の喪失につながります。
“迷わない私”が、チームの安心感になる
決断力は、自分のためだけでなく、チームの未来のために磨く力です。迷わないリーダーは、部下にとっての道しるべになります。
そして何より、「私は決められる」「私にもできる」という自己信頼が、あなた自身の未来を切り拓いていきます。
今この瞬間から、あなたの決断が、チームを動かし、未来を変えていく第一歩です。
書籍紹介:ナポレオン・ヒル著『思考は現実化する』
この記事の中でも引用した「決断力こそが、リーダーとしての第一条件である」という言葉は、ナポレオン・ヒルの名著『思考は現実化する(Think and Grow Rich)』からのものです。
この書籍では、成功者に共通する“13の成功法則”が紹介されており、その中でも「決断力」は極めて重要な能力として強調されています。
多くの人が成功を手にできないのは、行動が遅く、優柔不断であることが原因だとナポレオン・ヒルは述べています。
「迷わず、決める」。
この力は、EOSで語られるリーダーシップにも通じる重要なスキルです。
自分のビジョンに向かって進む女性リーダーにとって、学びになる1冊です。