せっかく女性をリーダーや管理職に引き上げても、肝心の本人のマインドがついてこないことがあります。実際に、そうした声を、現場でよく耳にします。
「責任ある立場は自分には向いていない」「家庭との両立が不安」という声は少なくありません。さらに、男性の力に頼ったり「女性だからできない」と思い込むケースもあります。
こうした“扶養マインド”から抜け出せなければ、女性は力を発揮できません。結果として、本来持つリーダーシップやマネジメント力も出しにくくなります。
しかし今、日本の中小企業は深刻な人材難に直面しています。優秀な女性の時間と力を活かさなければ、この危機を乗り越えることはできません。
女性が自立しリーダー業務を担えるマインドへシフトすることが重要です。だからこそ、その変化が企業の未来を左右します。
そこで役立つのが、アメリカの中小企業で広く導入されている「EOS(Entrepreneurial Operating System)」です。
EOSは、性別や年齢に関係なく「正しい人を正しい席に配置する」ことを徹底し、組織全体の成果を高める仕組みを提供します。
EOSは、アメリカの中小企業で広く導入されている「起業家型組織運営システム」です。
ビジョン共有、数値管理、役割の明確化、課題解決など、会社をシンプルに成長させるための仕組みが体系化されています。
特に人材難に直面する中小企業にとって、性別や年齢に関係なく「正しい人を正しい席に配置」し、成果を最大化する実践的なフレームワークです。
女性のマインドはいつ変わってきたのか?
戦後から続く「女性は家を守るもの」という価値観は、時代とともに変化してきました。しかし、変化のスピードや深さは世代で差があります。年代ごとの節目を確認してみましょう。
戦後〜高度経済成長期(1950〜70年代生まれ)
「専業主婦」が理想像とされ、男性が稼ぎ、女性は家を守るという役割分担が根強く存在しました。そのため、「団塊世代」や「バブル期前後」の女性は影響を強く受けています。この価値観が色濃く残っているのです。
➡️ 現在の60代以上には「扶養」意識が比較的強く見られる傾向があります。
バブル崩壊〜雇用環境の変化(1980〜90年代生まれ)
男女雇用機会均等法(1986年施行)が広まり、総合職で働く女性が増えました。当時は「結婚したら退職」「育児と両立できないからパートに」という空気も根強くありました。だからこそ、現在の40代〜50代前半には「扶養内で働く」マインドが残っています。
➡️ この世代が今まさに「意識が揺れている層」です。
ミレニアル世代以降(1990年代後半〜2000年代生まれ)
就職氷河期や非正規雇用の拡大を経験し、「共働き」が当たり前になりました。また、女性自身がキャリアを求める意識が強まりました。「扶養」よりも「自立」「自己実現」に価値を置く傾向が広がっています。
➡️ 30代以下は、もはや「旦那さんに養ってもらう」より「自分のキャリアを築く」ことが普通になっています。
つまり、50代半ば〜60代以上は扶養意識が強い層です。40代は「揺れ動く層」、30代以下はキャリア自立が前提の層と整理できます。
この世代ごとの違いを理解することが大切です。その上で、自分自身がどんなリーダーを目指すのかを考えることが、女性の成長につながります。
なぜ女性リーダーのマインドが求められるのか

人材難の時代、女性の力を活かすことは単なる人数合わせではありません。
多様な視点や共感力を備えた女性がリーダーとして力を発揮することで、チームの柔軟性や持続力が高まります。
しかし、前提となるのは意識の変化です。「女性だから補助役でいい」という古い価値観を脱し、リーダーとして自立するマインドを育むことが必要です。
従来の価値観 | これからの女性リーダー像 |
---|---|
扶養のもとで補助的に働く | 自立して成果を出す責任を持つ |
男性の決断を支える役割 | 自ら意思決定しチームを導く |
家庭優先でキャリアは二の次 | キャリアと家庭を両立し、双方で価値を発揮 |
このシフトができるかどうかが、人材難の時代に女性リーダーが経営資源として力を発揮できるかを決めます。
EOSで仕組みを整え、自立を後押しする
女性がリーダーとして力を発揮するためには、個人の意識改革だけでは不十分です。
環境や仕組みが整っていなければ、どれだけ意欲があっても成果につながりません。
そこで役立つのが、アメリカの中小企業で広く導入されているEOS(Entrepreneurial Operating System)です。
EOSは「正しい人を、正しい席に配置する」ことを徹底し、性別や年齢にとらわれずに適材適所を実現します。
この仕組みを活用することで、女性リーダーは自立しながらも組織の成果に直結する役割を担うことができるのです。
GWCで「できる女性」を見極める
EOSのフレームワーク「GWC」は、女性リーダーの配置を考えるうえで強力な指標です。
Get it(理解している)、Want it(やりたい)、Capacity(能力がある)。
この3つを満たす女性には、思い切ってリーダーの役割を任せることで組織が大きく成長します。
アカウンタビリティチャートで役割を明確にする
EOSの「アカウンタビリティチャート」は、組織を肩書きではなく責任領域で区分します。
「女性だから補助役」という思い込みを排し、リーダーとして責任を持つポジションを与えることが可能です。
責任が明確になることで、女性自身も自立したリーダーシップを発揮しやすくなります。
スコアカードで「数字に基づくリーダーシップ」を磨く
「スコアカード」で数字を見える化すれば、女性リーダーは感覚に頼らず判断できます。つまり、数値を根拠にチームを導けるのです。
女性リーダーが取るべきアクション
人材難の時代を乗り越えるために、女性リーダー自身がどんな行動を取るかが重要です。年齢に関係なく、意識と行動を変えることで、リーダーとしての成長は加速していきます。
- 自分の意識を変える行動
・扶養マインドから「自立マインド」への切り替え
・「やりたい」と思ったら手を挙げる勇気を持つ - 仕組みを活かす行動
・EOSの考え方(GWC、アカウンタビリティチャート)をヒントに、仕事を選ぶ・任される
・役割や責任を明確にする工夫を自分から提案する - キャリアを広げる行動
・学びや成長の機会を逃さない
・自分の強みをチームに還元する
世代ごとのマインド差と成長のチャンス
世代によって女性のキャリアに対する意識は異なります。その違いを理解することが大切です。ですが、どの世代にも「成長のチャンス」は存在します。自分の立ち位置を知り、次の一歩を意識することが大切です。
世代 | マインドの傾向 | 成長のチャンス |
---|---|---|
60代以上 | 扶養意識が比較的強い 「男性が稼ぎ手」という価値観が残る | 豊富な経験を若手に伝える メンター的役割で活躍 |
40〜50代 | 「扶養から自立へ」揺れ動く世代 結婚や育児との両立でキャリアが中断しやすい | 管理職やマネージャーとして挑戦 意識の切り替えが成長の加速に |
30代以下 | 扶養意識が薄い キャリア自立を前提にしている | リーダーの経験を早く積むことで差別化 仕組みを使って成果を出す |
世代ごとに価値観やマインドの違いはありますが、大切なのは自分の強みをどう活かし、学び続けるかという姿勢です。
つまり、時代背景にとらわれる必要はありません。成長のチャンスを意識することが大切です。その意識があれば、誰でもリーダーとしての道を切り開けます。
まとめ|自分の意識を変えることから始めよう
女性のキャリアには、世代ごとに異なる背景やマインドの違いがあります。
しかし、最終的に未来を決めるのは「世代」ではなく「自分の選択」です。
扶養マインドから自立マインドへと意識を切り替えましょう。そして、やりたいことに挑戦するのです。仕組みを活かして成果を出すことも忘れてはいけません。
その積み重ねが、女性リーダーとしての成長を確実に後押しします。
EOS(Entrepreneurial Operating System)は、責任や役割を明確にし、成果で評価される仕組みを提供します。
女性が自分の力を発揮しやすくなる土台を整えるツールでもあります。
未来のリーダー像は「誰かに与えられるもの」ではありません。自分の行動で形づくるものです。
今日から一歩、自分の意識を変えることが、企業を変え、社会を変えていく力になります。
書籍紹介|『TRACTION』で学ぶリーダー成長の仕組み
『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。会社を成長させるために必要な仕組みを、誰でも実践できる形でまとめています。
例えば、L10ミーティング(週次ミーティング)、石(Rocks)、スコアカードなどのツールがあります。これらは女性リーダーが「完璧主義から前進主義」へ意識を切り替える大きな助けになります。
リーダーシップを感覚に頼らず、仕組みを武器にして成果を出したい人に最適な一冊です。世代や性別を問わず、組織の中で成長を目指す方におすすめできます。
▶『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著