「女性らしく振る舞うべき」「男性はリーダーらしく強くあるべき」。
こうした社会的な期待(ジェンダーロール)は、今も多くの職場に根強く存在します。
一方で、これからの時代に求められるのは、性別を超えて“本来の強み”を発揮するリーダー像です。
EOS(Entrepreneurial Operating System)の視点は、この固定観念を超える大きなヒントになります。
EOSはアメリカで広く導入されている「起業家型組織運営システム」です。
ビジョンの共有、データに基づく経営、責任の明確化、課題解決などを通じて、シンプルに組織を成長させるための仕組みがまとめられています。
中小企業から大企業まで導入実績があり、性別や年齢に関わらず、誰もが力を発揮できる環境づくりを支援します。
はじめに|なぜジェンダーロールがリーダーシップを縛るのか
「女性はサポート役に回るもの」「男性は決断力があるはず」。
こうしたジェンダーロールに基づく無意識の思い込みは、女性がリーダーとして前に出ることを妨げる要因です。
一方で、組織が真に成果を出すには工夫が欠かせません。
そのためには、“性別に関係なく適材適所に人を配置する仕組み”が必要です。
ここでEOSの考え方が活きてきます。
ジェンダーロールを超える鍵は「適材適所」
ジェンダーロールの固定観念と、EOSが重視する「責任」と「成果」の考え方は対照的です。
その違いを整理すると次のとおりです。
ジェンダーロール的な見方 | EOS的な見方 |
---|---|
女性は補助、男性はリーダーになりがち | 性別に関係なく「GWC」で適材適所を判断 |
肩書きや性別で役割を決める | アカウンタビリティチャートで「責任」で区分 |
「女性らしさ」「男性らしさ」で評価されやすい | スコアカードや石(Rocks)で「成果」で評価 |
子育て等のライフステージでキャリアが止まる | 意欲と能力があれば機会を与える(柔軟な配置) |
EOSのGWCで人を判断する
EOSでは、人を判断する際に「GWC」というフレームワークを用います。
Get it(理解している)、Want it(やりたい)、Capacity(能力がある)。
この3つを満たしているかどうかが基準であり、性別や役職は関係ありません。
女性だから補佐役、男性だからリーダー。
そんな枠組みは取り払いましょう。
大切なのは、“その人が適しているか”を冷静に見極めることです。
▶ わたしに合う仕事の見つけ方|GWCで納得の働き方を選ぼう
アカウンタビリティチャートで役割を明確にする
EOSの「アカウンタビリティチャート」では、組織を肩書きではなく責任領域で区分します。
これにより、「女性だからこの席」「男性だからこの役割」という固定観念を排し、責任を果たせる人が正しく配置されます。
ジェンダーロールではなく、役割と成果に基づいた組織設計が可能になるのです。
女性リーダーが強みを発揮できるポイント

共感力と多視点を活かす
共感力や多角的な視点は、従来のジェンダーロールでは弱みと捉えられがちでした。
けれども実際には、チームの予兆を掴み、未来を予測する力につながる大きな強みです。
EOSの仕組みの中で活かせば、組織全体に新しい風を吹き込むことができます。
成果で評価される仕組みが必要
スコアカードや石(Rocks)を使うと、数字や成果で評価できます。
「女性らしいから」「男性的だから」といった曖昧な基準ではありません。
成果に基づく仕組みがあるからこそ、女性リーダーが正当に評価される土台が築かれます。
中小企業の現実と私の率直な想い
私がいつも胸を痛め、違和感を覚えるのは「女性のキャリアアップが後回しにされている現実」です。
特に中小企業では、いまだに「男性が稼ぎ手」「女性は補助業務を担う」という空気が色濃く残っています。
結果として、女性は責任ある仕事やリーダーのポジションに就きにくく、キャリアの階段を昇る順序が男性よりも低く設定されがちです。
しかし、これは本人にとっても企業にとっても大きな損失です。
やる気と能力のある女性が、性別やライフステージによってチャンスを奪われるべきではありません。
たとえ子育て中であっても、「GWC(理解・意欲・能力)」を満たしている人にはキャリアアップの機会を与えるべきだと私は考えています。
ジェンダーロールに縛らず、その人の本来の力で評価される組織をつくることこそ、女性リーダーが輝き、企業が成長するための第一歩です。
- 性別ではなく「GWC」で適材適所を判断する
- アカウンタビリティチャートで責任を明確化する
- スコアカードや石(Rocks)で成果を正しく評価する
- コアバリューに沿っている人に機会を与える
まとめ|ジェンダーロールから自由になったときリーダーは進化する
ジェンダーロールは無意識にリーダーを縛り、可能性を狭めてしまいます。
一方で、EOSのツール――GWC、アカウンタビリティチャート、スコアカード――は、性別ではなく役割と成果で人を判断する仕組みです。
だからこそ、女性リーダーがジェンダーロールを超えて強みを発揮すれば、組織の成長は一段と加速します。
日本ではまだまだジェンダーロールの影響が残っています。
それでも、私たち一人ひとりが枠を超えて挑戦すれば、必ず道は開けます。
ともに一歩ずつ、未来の女性リーダー像を築いていきましょう。
書籍紹介|『TRACTION』でEOSを深く学ぶ
『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。
GWC、アカウンタビリティチャート、スコアカード、石(Rocks)、L10ミーティングなど、この記事で触れたツールを体系的に学べます。
女性リーダーが「性別の役割」から自由になり、仕組みを武器にして成果を出すための実践的なヒントが満載です。
実際に女性リーダーが自分の会社にEOSを導入するのは、立場上すぐには難しいかもしれません。
それでも、『TRACTION』を読むことで「仕組みで組織を動かす」考え方を理解できます。
特に女性リーダーや女性管理職にこそ、リーダーシップを進化させる一冊として手に取ってもらいたい本です。
▶ 『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著