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フィードバックは24時間以内に|EOSマネジメント実践

笑顔で部下にフィードバックを伝える女性リーダー|フィードバックは24時間以内にEOSマネジメント実践 EOSツール実践ガイド
フィードバックは「24時間以内」が鉄則。女性リーダーが信頼を育てるEOSマネジメントの実践シーン。

「良いことは言えるけど、悪いことはなかなか言えない…」
リーダーとして部下に接する中で、こんな悩みを持ったことはありませんか?

相手を傷つけたくない。雰囲気を壊したくない。言い方を間違えるとモチベーションを下げてしまうかもしれない——。だからつい、悪いフィードバックは後回しになりがちです。

しかし「言わないこと」こそが、後々大きな問題につながります。放置すれば課題は広がり、信頼関係も崩れてしまいます。

そこで注目したいのが、EOS(Entrepreneurial Operating System)が提唱する「マネジメント5つの実践」です。その中には「良いフィードバックも悪いフィードバックも24時間以内に伝える」という、シンプルで強力なルールがあります。

本記事では、この「24時間ルール」を軸に、なぜ即時フィードバックが大切なのか。そして悪いフィードバックをどう伝えるかを整理していきます。

フィードバックは“24時間以内”が鉄則|EOSマネジメントの実践

EOSの「マネジメント5つの実践」には、フィードバックを「24時間以内」に伝えるという重要なルールがあります。良いフィードバックも悪いフィードバックも遅らせずに伝えることで、信頼関係と成長スピードを守ることができます。

とにかく「早い」「即座に」が大事です。英語版では promptly(遅れずに)、timely(タイムリーに)、quickly(即座に)と表現されています。つまり「迷わずすぐに伝える姿勢」がリーダーに求められるのです。

褒める時は人の前で、批判する時は2人きりで

フィードバックは「早さ」だけでなく「場の選び方」も重要です。「褒める時は人の前で、批判する時は2人きりで」というルールは、リーダーが実践すべき基本のスタンスです。

褒める時は人の前で伝えると、本人のモチベーションが高まります。同時にチーム全体に「望ましい行動」が広がります。つまり称賛は文化を育て、前向きな空気を生み出すのです。

批判や改善の指摘は2人きりの場で伝えることが鉄則です。公の場で伝えると相手は恥をかき、防御的になります。その結果、信頼関係にヒビが入ります。一方で、1対1で事実を冷静に伝えれば、相手も素直に受け止めやすくなります。

つまり「24時間以内に伝える」というタイミングのルールと、「公と個を使い分ける」という場のルール。この2つを組み合わせることで、フィードバックの効果は最大化されます。

フィードバックには「良いもの」と「悪いもの」がある

部下に笑顔でフィードバックを伝える女性リーダー|良いフィードバックと悪いフィードバックの違い

フィードバックは必ずしもネガティブなものではありません。成果や成長を認める「良いフィードバック」もあれば、改善を促す「悪いフィードバック」も存在します。

良いフィードバックの例と悪いフィードバックの例

ここでは、リーダーが実際に部下へ伝える際の「良いフィードバック」と「悪いフィードバック」の具体例を紹介します。良い点を伸ばす言葉と、改善を促す指摘。その両方が組織には欠かせません。

良いフィードバックの例

  • 「昨日のプレゼンテーション、とても分かりやすかったよ。特に事例の説明が効果的だったね。」
  • 「今朝のミーティングでの質問は、チームの議論を深めてくれて助かったよ。」

悪いフィードバックの例

  • 「会議の報告が遅れたことで、チーム全体の判断が遅くなってしまった。次回は会議終了後すぐに共有してほしい。」
  • 「ミスが起きたがフィードバックが遅く、すでに次のミスも発生していた。早い段階でのヒヤリングが必要だった。」
  • 「部下が会社への批判を大声で言っていたので、批判する前に状況をきちんと話して欲しい。」

なぜ「ネガティブな指摘」は難しいのか?

多くのリーダーが苦手としています。特に女性リーダーの場合は、相手の気持ちや雰囲気に配慮しすぎて、さらに伝えるハードルが高くなることがあります。

  • 相手を傷つける不安
    共感力が高いほど「言ったら相手を落ち込ませるかも」と気を使いすぎる。
  • 人間関係が悪化する心配
    和を大切にするため、雰囲気を壊さないことを優先し、指摘が後回しになる。
  • 伝え方を間違えるリスク
    言葉を選びすぎてタイミングを逃す。「どう言えば角が立たないか」と悩んでしまう。
  • “優しさ”が裏目に出る
    優しく接したつもりが、改善の機会を奪い、成長を遅らせてしまう。

しかし実際には、言わないことこそが信頼低下や組織の停滞につながります。だからこそ勇気を持って、24時間以内に伝える姿勢が求められるのです。

なぜ「悪いフィードバック」は24時間以内に伝えるべきなのか?

「24時間以内に伝える」というルールは、感覚的な「早めに」を数値化したものです。つまり再現性を高め、リーダーが迷わず実践できるように設計されています。

理由内容
問題が増幅する前に防ぐ放置すると行動が繰り返され、大きな問題へ発展する。小さなうちに止めることが大切。
信頼関係を守るすぐ伝えることで「成長を願っている」と分かる。遅れると不信感につながる。
感情の鮮度がある出来事直後なら冷静に具体的に伝えやすい。時間が経つと不満に聞こえてしまう。
組織のスピード感を維持迅速な文化は改善を早め、組織の成長を押し上げる。
悪いフィードバックを「24時間以内」に伝える理由一覧

まとめ:勇気を持って“24時間以内に、公か個で”伝える

言いにくいことを後回しにするのは簡単です。しかし、その代償はチーム全体に跳ね返ります。EOSが示す「24時間以内ルール」は、リーダーが迷わず行動できるように設計されたものです。良いフィードバックは人前で。悪いフィードバックは2人きりで。そして必ず24時間以内に。勇気を持って実践することが、リーダーとしての信頼と成長を支える力になります。

書籍紹介

『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。L10ミーティング(10点満点ミーティング)、石(Rocks)、スコアカードなど、経営に必要なツールが体系的に紹介されています。

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ジーノ・ウィックマン 著

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