会議で部下や同僚の意見を聞いていると、つい口から出てしまう言葉。
「それは違うと思う」「なんでそんなことを言うの?」「それは〇〇チームのせいだよ」──。
その場では「リーダーとして正しい指摘をした」と思えるかもしれません。
しかし周囲から見るとどうでしょうか?否定や批判、さらには責任の押しつけが続くと、場の空気は一気に重くなり、メンバーは発言を控えるようになります。
しかもリーダーは常に見られている存在です。冷静に観察している人からは、「成果を出す人」ではなく「残念な人」と映ってしまうことさえあります。
否定や批判で相手を抑え込むのではなく、前向きに課題を扱う。
その転換を支えてくれるのが、L10ミーティング(10点満点ミーティング)です。
「否定・批判」はもったいない?メリットへ転換する発想
否定や批判は一瞬のスッキリ感を与えますが、成果や信頼にはつながりません。逆に、EOSツールを使えば「損」で終わる言動を「得」に変えることができます。
視点 | 否定・批判をした場合 | EOSツールを使った場合 |
---|---|---|
チームの雰囲気 | 空気が重くなり、発言が減ってしまう | L10ミーティングで安心感が生まれ、前向きな意見が出やすくなる |
課題解決 | 人を責める方向に行きがちで、根本的な解決に至らない | IDSで課題を特定し、チーム全体で解決策を練ることができる |
リーダーの評価 | 「残念な人」と見られるリスクが高まる | 前向きに導く姿勢が評価され、信頼を得られる |
組織の成果 | 停滞し、同じ問題を繰り返してしまう | スコアカードで進捗を共有し、成果につながる |
会議で否定や批判をするとどう見られるか
否定や批判は、本人には「リーダーらしい厳しさ」に見えても、周囲には別の印象を与えます。
- 成果を生まない:議論が止まり、解決策につながらない
- リーダーは見られている:冷静に観察され、信頼を失う
- 残念な人に見える:前向きに導く姿勢がないと感じられる
否定や批判を繰り返すほど、リーダー自身の影響力は目に見えない形で削がれていきます。
L10ミーティング(10点満点ミーティング)で変わる会話の質
L10ミーティングは、否定や批判ではなく「課題をどう解決するか」に焦点を当てる仕組みです。毎週同じアジェンダで進行するため、会議が感情論に流れることを防ぎます。
IDS:否定ではなく課題を特定する
Identify, Discuss, Solve のプロセスで「人ではなく課題」に目を向けます。責任の押しつけではなく「何が本当の原因か」を建設的に話し合えるのです。
- Identify(アイデンティファイ:特定する)
表面的な問題ではなく、本当に解決すべき根本課題を見つけ出すステップ。 - Discuss(ディスカス:話し合う)
意見を出し合い、課題の本質や影響を明確にする段階。ここでは否定や批判ではなく、率直でオープンな対話が求められる。 - Solve(ソルブ:解決する)
具体的なアクションを決め、誰がいつまでに取り組むかを明確化する。解決策を実行可能な形に落とし込むのがポイント。
スコアカード:批判ではなく事実で語る
スコアカードとは、会社やチームの重要指標を毎週数値で確認できる仕組みです。売上や進捗、顧客対応など、未来を予測するための数字を「見える化」します。誰が見ても同じ事実を共有できるので、感覚や思い込みに頼らず議論を進められます。
毎週の数値をスコアカードで確認することで、感覚的な批判や思い込みを避けられます。数字という客観的な材料があれば、議論は前進しやすくなります。
全員が参加できる仕組み
否定や批判で口を閉ざす人をつくらず、全員が発言できる環境を用意するのもL10(10点満点ミーティング)の特徴です。これにより会議は「誰かを責める場」ではなく「チームで課題を解決する場」となります。
女性リーダーこそL10(10点満点ミーティング)を味方にすべき理由

女性リーダーは「成果を出さなければ」というプレッシャーから、つい否定や批判に走ってしまうことがあります。しかしそれは信頼を損なう行動にもなりかねません。
L10ミーティングを使えば、弱みや停滞を「チーム全体の課題」として扱えます。否定や批判ではなく、冷静に課題解決を進める姿勢は、むしろリーダーとしての信頼を高めるのです。
真のリーダーは後ろ向きに人を責めるのではなく、前向きに課題を捉え、チームを導きます。その力を支えるのがEOSの仕組みです。
まとめ:否定や批判ではなく、前向きな解決を
否定や批判は一時的なスッキリ感を与えるかもしれませんが、成果は生まれません。むしろ信頼を失い、チームの力を削ぐ行為です。
L10ミーティング(10点満点ミーティング)は、否定や批判の会話を「課題解決の対話」に変える仕組みです。女性リーダーこそこの仕組みを味方につけ、前向きに成果を生む会議を実践していきましょう。
書籍紹介
『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。組織運営をシンプルに強化するための6つのコンポーネントや、L10ミーティング(10点満点ミーティング)、IDS、スコアカードなど実践的なツールを詳しく解説しています。本記事のテーマである「否定や批判を建設的に変える」視点も、この本から深く学ぶことができます。
▶『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著
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